三熊山から紀淡海峡
 洲本での仕事が早めに終わった。
二科展に若いとき入選した方のクレパスと画用紙をいきなり所望して三熊山に登って紀淡海峡を眺めた。
あの赤みがかった肌色の海筋はなかなかきれいだと言ったら、それはとんでもないことだった。
赤潮の大量発生で、漁業は大被害。
いつもは潮干狩りでアサリがとれるが、漁獲禁止だそうである。
洲本城の石垣を穿つ大木
 こけむす石垣を穿つ大木二本。
自然の生命力を阻むことはできない。
生きていさえすれば、必ず蘇る。苦しいときもしのぐことだ。
石垣をひょいひょい飛んで降りたら、次の日は足が痛かった。
ちょっと違う筋肉は久しぶりに動いたのだろう。
動いた後の金寿司のヒラメとウニは申し訳ないほどうまかった。
赤潮が早く納まりますように。
三熊山城
 水軍の築いた城。東軍につくか西軍につくか?
水軍には、水軍の理があったのか?
この山は一面、桜の樹が多い。満開の頃はさぞ華やかであったろう。
葉桜の初々しさと人気のない方が私は好きです。

夙川(しゅくがわ)
 普通電車の大阪側行きの最先頭車両が夙川に着いたら、この橋が見えます。
水量の少ないコンクリートの川筋だが、甲山に発し、両岸の松と桜が数キロ続いて阪急苦楽園あたりから、歩いて香櫨園浜まで歩くことができる。
阪神間屈指の高級住宅街を走る。
夙川の夙は、「夙(つと)に」とも読む。
「夙」という字は「はやい」と言う意味。
私は「しゅく」とすぐ読めた。
カムイ伝の夙のカムイのことを「少年サンデー」で何度も読んでいたから。
阪神武庫川駅から 時ならぬ小雪の日
 確定申告の大詰め、深夜に及ぶ仕事の連続で峠を越えた頃、早春の光が強くなる。
疲れて虚脱感のある身体にも、なんとなく、冬眠あけの蘇生感が湧いてくる。
でも、騙されてはいけない。春はなのみの風の寒さよ。時ならぬ小雪の日。
武庫川駅は、川の上にある寒い風の吹き抜ける駅。
北側を向いて立ったまま金網に画用紙を押しつけて鉛筆でかき取った。
宝塚市中山五月台
 宝塚の中山は安産祈願の中山寺が入口で頂上までのハイキングは時々がっかりする。
もう何時間も歩いて山の上に来たのに、隣に住宅地が出て来たり、もっと奥にゴルフ場の建物があったり、立入禁止の自衛隊の演習場の表示に出くわすからだ。
山の入口の方の宅地を見に行った際に下界を眺めた。
明月記さんというゴルフ場脇の和食屋さんもこういう景色ですね。
猪名野神社の狛犬
 神社の大社の周りにある小さな社。
赤い前掛けの狛犬2匹。片方は口を開け、一方は閉じている。
口を開けているのが角のある獅子で、閉じているのが狛犬という。
いわれはインドと仏教の伝来に関係しているそうです。
木陰の緑が深く、あっちこっち、蚊に刺されたかゆみが蘇る。
ドングリ拾いが好きなうちの子に「狛犬さんコワイ。
お父さん。取ってきて。」とよく拾わされた。
大邸宅 伊丹
 農家。堂々たる稜線のような瓦屋根。
都市農地だから仕方ないのでしょうが、「ここへはいるな」のフェンスが張り巡らしてあるのは、私の田舎と違って違和感を覚えます。
 用水はパイプで地下から、蛇口で出て来ます。
三大都市圏の農地の納税猶予は、生産緑地でないと受けられなくなっていますから、その維持には、大変な苦労があることは職業柄、私は承知しています。
でも住宅ローンを抱えて通勤するサラリーマンからは、お城のように見えることでしょう。