阪神武庫川駅から 時ならぬ小雪の日
 確定申告の大詰め、深夜に及ぶ仕事の連続で峠を越えた頃、早春の光が強くなる。
疲れて虚脱感のある身体にも、なんとなく、冬眠あけの蘇生感が湧いてくる。
でも、騙されてはいけない。春はなのみの風の寒さよ。
時ならぬ小雪の日。
武庫川駅は、川の上にある寒い風の吹き抜ける駅。
北側を向いて立ったまま金網に画用紙を押しつけて鉛筆でかき取った。

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