【じじ婆一年待つ】
 これはある時、カード会社の新聞コマーシャルの小さな白黒写真から、想像で。コピーは確か「1年待っていてくれる人がいる。」東京から新幹線で5時間、そこから在来線。その小さな駅からタクシーで30分というような文字を記憶している。都会で深夜まで働きづめで、やっとできた一人っ子を連れて、嫁と一緒に帰る。爺は1年待っている。その日は、朝からそわそわ。掃除と電気をつけて。婆が後ろで見守る。爺は、タクシーが見えたら、引きこもるに違いない。